ウィークグリップで飛距離アップ！正しい握り方と活用法
ゴルフの世界では、クラブと体の唯一の接点であるグリップが、スイングの成否を大きく左右します。中でも「ウィークグリップ」は、球筋コントロールに優れた握り方として知られています。
近年はストロンググリップを推奨するレッスンが増え、「ウィークグリップはもう時代遅れなのかな？」と不安に感じているゴルファーも多いのではないでしょうか。
実は、プロゴルファーの中にもウィークグリップを活用している選手は少なくありません。ブライソン・デシャンボー選手やコリン・モリカワ選手、さらには「ゴルフの神様」と呼ばれるベン・ホーガン選手も、若い頃のフックに悩まされた後、ウィークグリップに変えて活躍し始めたことで知られています。
どう思いますか？ 自分のスイングに合わないグリップを使い続けることは、上達の妨げになりかねません。
ウィークグリップで飛距離アップ！正しい握り方と活用法とは
ウィークグリップとは？基本を理解しよう
ウィークグリップは、左手を浅く握るのが最大の特徴です。
具体的には、左手の甲がターゲット方向（目標方向）を向き、左手親指がシャフトの中央に位置するように握ります。この握り方をすると、構えたときに肘が地面を向くため、自然と脇が締まりやすくなるという利点もあります。
ゴルフのグリップは、クラブを握る位置によって大きく3種類に分けられます。
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ウィークグリップ：左手を浅く握り、左手の甲が目標方向を向く
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スクエアグリップ：左手の甲が斜め上を向く、標準的な握り方
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ストロンググリップ：左手を深く握り込み、左手の甲が上を向く
この3つの違いは、左手でクラブを握り込む深さ（左腕を内側に回す量）にあります。ウィークグリップが最も浅く、スクエアグリップ、ストロンググリップの順に深くなっていきます。
握り込む深さの目安は、左手の甲と親指の位置です。アドレス時に自分から見て、左手の甲がどれだけ見えるかで判断できます。
ストロンググリップとの決定的な違い
ウィークグリップと対照的なのが、左腕を内側に回して握るストロンググリップです。
ウィークグリップは左手を浅く握るのに対し、ストロンググリップは左手を深く握り込むのが特徴です。この違いがスイング方法やボールの弾道に大きな影響を与えます。
ウィークグリップでは、バックスイングでフェースを開き、ダウンスイングでフェースを閉じる左腕の旋回運動を使ったスイングが基本となります。握りこみが浅いぶん手首が使いやすく、フェースの向きをコントロールしやすいのが特徴です。
一方、ストロンググリップは構えた時点でフェースが閉じているため、腕の旋回ではなく、フェースを閉じたまま体の回転でスイングするのに適しています。ボールをつかまえて飛距離を出したい方に向いた握り方です。
あなたは自分のグリップを確認したことがありますか？
ウィークグリップのメリット・デメリット
ウィークグリップが自分に合っているかどうかを判断するには、そのメリットとデメリットを理解することが大切です。
メリット：球筋コントロールの精度が高まる
ウィークグリップの最大のメリットは、球筋をコントロールしやすいことです。
左手の甲がボールの飛んでいく方向を向いた状態で構えるため、左手の甲の角度がそのままクラブフェースの角度になります。そのため、スイング中にフェースの向きを把握しやすくなるのです。
また、ダウンスイングでフェースが開きやすくなるため、ボールのつかまりすぎによる左へのミスを軽減する効果もあります。フックやひっかけ、チーピンなど、弾道が左へ行きやすい方にとって有効な握り方といえるでしょう。
私自身、以前はフックに悩まされていましたが、ウィークグリップに変えたことで、ミスショットが大幅に減りました。特に、プレッシャーのかかる場面でも安定したショットが打てるようになったのは大きな変化でした。
デメリット：スライスリスクと飛距離の課題
一方で、ウィークグリップには明確なデメリットも存在します。
最も大きな問題は、スライスが出やすいことです。メリットでお伝えした通り、スイング中にフェースの開閉が行われるため、インパクトでフェースが開きやすくなります。もともと打球が右に曲がりやすい方は、ウィークグリップにすることで症状が悪化するかもしれません。
さらに、飛距離が出にくいこともデメリットの一つです。フェースが開くためにボールをつかまえにくいことに加え、力を入れづらい握り方のため、ストロンググリップに比べて飛距離は落ちやすくなります。
あなたのミスショットは左と右、どちらに多いですか？
ウィークグリップの正しい握り方
ウィークグリップを試してみたいと思ったら、まずは正しい握り方をマスターしましょう。
左手の握り方
左手は、手の甲がターゲット方向を向くように握ります。目安として、親指はシャフトの真ん中かやや左の位置にきます。
このときに、左手のこぶし（指の付け根）の山が人差し指の1つだけ見えているのが基準です。こぶしの山が2つ以上見えている場合は、ストロンググリップに近い握り方になっているので注意しましょう。
左手の親指は握り込まずにグリップの上に添えるのが基本です。親指を縮めて添える方法（ショートサム）と、伸ばして添える方法（ロングサム）がありますが、しっくりくる方で構いません。
右手の握り方
クラブは両手のひらが向き合うように握るのが一般的です。ウィークグリップでは、左手をやや下から包むように握るため、右手は左手と向き合うように、上からかぶせる形になります。
右手の人差し指と親指でVの字を作り、そのVがあなたの右耳あたりを指すようにするとよいでしょう。
ゴルフ初心者の方は、まず左手だけでクラブを握り、アドレスの姿勢をとってみてください。そこから右手を添えると、自然とウィークグリップの形になりやすいです。
左手ストロング・右手ウィークの組み合わせ
実は、左手をストロングに構え、右手はウィークに構える握り方も存在します。小柄な体格ながら、体の大きな選手に負けない飛距離を誇るローリー・マキロイ選手もこの握り方です。
具体的な握り方は、左手・右手の両方の手を上からかぶせるように握ります。こうすることで、左手のストロンググリップによる飛距離アップの効果を得ながら、右手のウィークグリップによってヘッドの返りすぎを防ぐことが可能です。
飛距離を出しつつ左へのミスを減らせるので、ストロンググリップとウィークグリップのメリットを生かすことができるでしょう。
ただし、右手を上からかぶせることで右肩が上がり、アウトサイドインの軌道になりやすい点は注意が必要です。
ウィークグリップでのスイングのコツ
ウィークグリップはコントロール性の高さがメリットですが、フェースが開きやすいのが欠点です。そこで、ウィークグリップでもフェースが開かないようにスイングするコツを紹介します。
左手の掌屈を入れる
掌屈とは手首を手のひら側（内側）に折る動作です。バックスイングで左手首を手のひら側に折るのは、ウィークグリップと相性の良い動きです。
左手の掌屈を入れることで、フェースが開かずにスイングできるようになるため、ウィークグリップでスライスが出る場合は必須な動きといえるでしょう。
掌屈は、まねき猫の手の形をイメージして手首を手のひら側に折ります。そして、その手首の角度をキープしたままインパクトを迎えるのがポイントです。アマチュアの場合はテークバックの時点で掌屈を入れておくと、スイングが崩れにくくなります。
体の正面でインパクトを迎える
ウィークグリップはフェースを返してスイングするため、インパクトは体の正面で迎えるのが基本です。そのため、手元は常に体の真ん中にある状態でスイングする必要があります。
インパクトゾーンではグリップエンドがおへそを指し、インパクト後はヘッドが手元を追い越す動きが理想的です。この動きを行うには、体を開かないことが重要です。
インパクト前に体が回転すると、クラブの振り遅れとなり、フェースが開いた状態でインパクトを迎えることになります。体が開くのを防ぐには、インパクトまで頭をボールの右に残す「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」を意識し、胸を右に向けたままインパクトするつもりでスイングしましょう。
ハンドファーストになりすぎない
ハンドファーストとはインパクト時に手元の位置がボールよりわずかに先行する形を指します。飛距離アップに欠かせない技術ですが、ウィークグリップの場合は注意が必要です。
前述した通り、ウィークグリップは体の正面でインパクトを迎える必要があるため、手元が先行するハンドファーストが強いと、フェースが開く原因となってしまうのです。
アドレス時の手元の位置はインパクト時の形なので、まずアドレスでハンドファーストの度合いが強くならないよう意識しておき、インパクトではヘッドが手元を追い越すようにフェースローテーションを行いましょう。
ここでのポイントも、やはりインパクトで頭を右に残す意識です。頭が右に残っていれば、インパクトでクラブと引っ張り合う形になるため、自然と腕を返しやすくなります。
ウィークグリップが活きるシーン
ウィークグリップはフェース管理がしやすいため、手元の操作で意図的に打球をコントロールするのに向いています。
ウィークグリップが特に威力を発揮するシーンを見ていきましょう。
フェードやドローが必要な場面
目標方向の正面にある木を避けるショットや、ドッグレッグ（大きく曲がった形）のコースに沿った球筋で打ちたいシーンなど、意図的に球筋を曲げたい場面では、コントロール性の高いウィークグリップが活躍します。
ウィークグリップはフェースの開閉を使ったショットが打ちやすいため、意図的にフェードやドローを打ち分けることができます。
私の経験では、ウィークグリップに変えてから、特にフェードショットの精度が格段に上がりました。以前は意図的にフェードを打とうとすると、大きくプッシュアウトしてしまうことが多かったのですが、ウィークグリップでは適度な弧を描いて曲がるようになりました。
アプローチショット
手元の繊細な操作が求められるアプローチショットにもウィークグリップは有効です。
ウィークグリップは手首を使いやすい握り方のため、フワッと上げるロブショットや、転がして寄せるランニングアプローチなど、フェースの開閉を使って球筋を調節しやすくなります。
特にグリーン周りの繊細なタッチが必要なショットでは、ウィークグリップの特性を活かすことで、ピンに近づけるアプローチが打ちやすくなるでしょう。
バンカーショット
グリーン周りのバンカーから脱出する際にも、フェースを開いてバウンスを使ったショットがしやすいため、ウィークグリップが向いています。
バンカーショットではクラブフェースを開いて砂を滑らせる技術が必要ですが、ウィークグリップはフェースを開きやすいため、この技術と相性が良いのです。
あなたは苦手なショットがありますか？ もしかしたら、グリップを変えるだけで改善するかもしれませんよ。
ウィークグリップが向いている人の特徴
ウィークグリップは、「フェースが開きやすい」「コントロール性が高い」という特徴があります。これらの特性を活かせるのは、どんなタイプのゴルファーでしょうか？
ドローやフックが強い方
ウィークグリップは右にボールが出やすいため、ドローが強い方や強烈なフックが出やすい方に向いています。
打球が左へ飛ぶ人は、ダウンスイングからインパクトにかけてフェースを閉じる動きが強い傾向にあります。つまり、スイング中にフェースを返す動きを入れているということです。
このタイプの人がストロンググリップにすると、余計にボールがつかまって左へのミスに繋がります。フック系の打球が出やすい方や、ひっかけ、チーピンに悩んでいる方は、1度ウィークグリップを試してみましょう。
「ゴルフの神様」と呼ばれるベン・ホーガン選手も、若い頃はフックに悩まされていましたが、ウィークグリップに変えてから活躍し始めたことで知られています。
ヘッドスピードが速い方
スイング時のヘッドスピードが速い方は、シャフトのしなり量が多いため、インパクトでヘッドが返りすぎることがあります。このタイプの方も左へのミスが多くなりがちなので、ボールをつかまえにくいウィークグリップがおすすめです。
ドライバーの平均ヘッドスピードが45m/sを越える男子プロの中には、インパクトでヘッドが返りすぎないよう、あえて左手をウィークグリップにしている人もいます。
シャフトのフレックスを硬めに変更する方法もありますが、交換費用がかかるのが難点です。また、合わなかったときに元に戻す際にも、手間と費用がかかります。ウィークグリップは握り方を変えるだけなので、気軽に試したい方におすすめです。
フェースの向きをコントロールしたい方
ウィークグリップは左手の甲がターゲット方向を向いているため、スイング中にフェースの向きを把握したい方に向いています。
フェースの向きは打ち出し方向に影響するので、ボールの打ち出しをコントロールしたい方におすすめです。さらに、ダウンスイングからフォローにかけて、フェースをどれだけ返すかの調節ができることもメリットの一つです。
コースの傾斜を考慮したショットなど、状況に応じてフェースをコントロールして、球筋を調節したい方に向いています。
私が以前ラウンドした山岳コースでは、傾斜に合わせてフェースの向きを調整する必要が頻繁にありました。ウィークグリップのおかげで、傾斜に応じたショットが打ちやすく、スコアメイクに大いに役立ちました。
プロゴルファーに学ぶウィークグリップ活用法
ウィークグリップは、多くのプロゴルファーも採用している握り方です。彼らの活用法から学べることは多いでしょう。
ブライソン・デシャンボー選手の例
飛距離で知られるブライソン・デシャンボー選手は、ウィークグリップの使い手として有名です。彼は科学的アプローチでゴルフを分析し、自身のスイング特性に合わせてウィークグリップを採用しています。
デシャンボー選手は強烈なヘッドスピードを持ちながらも、ウィークグリップによってフェースの返りすぎを防ぎ、方向性を安定させています。彼のように、パワーとコントロールを両立させたい方は、ウィークグリップを検討する価値があるでしょう。
コリン・モリカワ選手の精密なコントロール
コリン・モリカワ選手もウィークグリップの使い手として知られています。彼の特徴は、精密なショットコントロールと安定したフェード球です。
モリカワ選手はウィークグリップを活かして、狙った場所に正確にボールを運ぶ能力に長けています。特に、プレッシャーのかかるメジャー大会でも安定したパフォーマンスを発揮できるのは、ウィークグリップによるフェースコントロールの賜物といえるでしょう。
状況に応じたグリップの使い分け
多くのプロゴルファーは、状況に応じてグリップを使い分けています。普段はストロンググリップを使っていても、特定のショットではウィークグリップに持ち替えるケースもあります。
特に、女子プロの場合、飛距離を伸ばすためにストロンググリップを用いる人が多いですが、障害物を避けるためなどのコントロールショットが必要な場面で、ウィークグリップに持ち替えるプロもいます。
このように、プロの場合は持ち球やコース状況に応じて、グリップを使い分けることが多いようです。そのため普段はウィークグリップを使わない方でも、状況によって使うことができるよう、基本的な打ち方は習得しておきたいところです。
ウィークグリップで飛距離アップを実現するコツ
ウィークグリップは飛距離が出にくいというデメリットがありますが、正しい使い方をすれば、飛距離アップも可能です。
体の回転を活かす
ウィークグリップで飛距離を出すには、手打ちではなく体の回転を活かすことが重要です。
ウィークグリップは手首の使いやすさがメリットですが、飛距離を出すには下半身から始まる体の回転を使ったスイングが効果的です。特に、インパクトからフォロースルーにかけて、体を左に開きながらクラブを振り抜くイメージを持ちましょう。
体の回転を使うことで、ウィークグリップでも十分な飛距離を得ることができます。また、体の回転を主体としたスイングは、手打ちに比べて安定性も高まるため、一石二鳥の効果があります。
フェースローテーションのタイミング
ウィークグリップでは、フェースローテーション（クラブフェースの回転）のタイミングが飛距離に大きく影響します。
ダウンスイングからインパクトにかけて、適切なタイミングでフェースを返すことで、ボールをつかまえて飛距離を出すことができます。早すぎると左に曲がり、遅すぎると右に曲がってしまうため、タイミングが重要です。
理想的なタイミングは、インパクトの直前にフェースを返し始め、インパクト後にフェースが完全に返る感覚です。これにより、ボールに適度なスピンがかかり、飛距離と方向性のバランスが取れたショットになります。
左手ストロング・右手ウィークの活用
前述した「左手ストロング・右手ウィーク」の組み合わせグリップも、飛距離アップに効果的です。
左手をストロングにすることで、ボールのつかまりやすさと飛距離アップの効果を得られます。一方、右手をウィークにすることで、フェースの返りすぎを防ぎ、方向性を安定させることができます。
この組み合わせは、飛距離と方向性のバランスを取りたい方に特におすすめです。ただし、アウトサイドインの軌道になりやすい点には注意が必要です。
まとめ：自分に合ったグリップを見つけよう
ウィークグリップは、最新のクラブやスイング理論にマッチしないと言われることが多い握り方ですが、決して悪い握り方というわけではありません。人によってはストロンググリップが合わないケースも多いため、どちらの握り方が良いとは一概には言えません。
大事なのは、自分のスイングに合ったグリップを取り入れること。そのためには、スイングの癖や弱点を把握する必要があります。
ウィークグリップは以下のような方に特に向いています：
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ドローやフックが強い方
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ヘッドスピードが速い方
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フェースの向きをコントロールしたい方
一方で、以下のような方はストロンググリップの方が合っているかもしれません：
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スライスに悩んでいる方
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飛距離を伸ばしたい方
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体の回転を使ったスイングをしたい方
自分に最適なグリップ方法を見つけるには、プロにスイングを見てもらい、アドバイスをもらうのがおすすめです。
ゴルフは一生涯楽しめるスポーツです。自分に合ったグリップを見つけることで、より楽しく、より上達するゴルフライフを送りましょう。
あなたも今日からウィークグリップを試してみませんか？ 思わぬ飛距離アップや、ミスショットの減少につながるかもしれませんよ。
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