冬のゴルフ練習場で感じる「飛ばない」現象の真相

寒い冬の日、ゴルフ練習場に足を運んだゴルファーが必ず感じる違和感。「なんだか今日は飛ばないな」という感覚です。
いつもなら軽く届く距離が、なぜか10ヤードも届かない。スイングは普段通りなのに、ボールが思うように飛んでくれない。この現象に心当たりがある方は多いのではないでしょうか。
冬のゴルフ練習場でレンジボール(練習場用ボール)が飛ばなくなる現象は、単なる気のせいではありません。実際に科学的な理由があり、プロゴルファーでさえも冬場は飛距離調整に苦労しているのです。

2025年現在、多くのゴルファーが冬のレンジボールの飛距離減少に悩まされています。この記事では、なぜ冬にレンジボールが飛ばなくなるのか、その原因と効果的な対策法を徹底解説します。
あなたも「寒い日の練習で飛距離が落ちる」という経験はありませんか?
レンジボールと通常のゴルフボールの決定的な違い

まず理解すべきなのは、練習場で使用するレンジボールと、コースで使用する通常のゴルフボール(本球)には大きな違いがあるということです。
レンジボールは何万回も打たれても割れにくく、練習場の外に飛び出さないよう設計されています。この特性が冬の飛距離問題と密接に関わっているのです。
構造の違い:単層vs多層
通常のゴルフボールは、3〜4層構造が主流となっています。中心部のコアから外側のカバーまで、それぞれの層が異なる役割を持ち、飛距離とスピン性能のバランスを実現しています。
一方、レンジボールは主に1ピースまたは2ピース構造となっています。ダンロップスポーツマーケティングの企画本部広報宣伝部部長によると、「レンジボールは練習場が住宅地に隣接していることもあるため、ネットから外に出ないように、飛距離性能はコースボールより抑えられた性能となっています」とのこと。
この構造の違いが、特に冬場に顕著な飛距離差を生み出す大きな要因となっているのです。
材質の違い:耐久性vs飛距離性能
レンジボールは耐久性を重視して作られています。ブリヂストンスポーツのボール商品企画課長によれば、「やわらかいコア(中心部)と、やわらかいカバーの2層構造が多く、ゴルファーが球数を多く打っても、手首や肘への負担を和らげ、打ち疲れしにくい構造となっています」。
この柔らかい素材は打感を良くする一方で、気温の変化に敏感に反応するという特性も持ち合わせています。通常のゴルフボールと比べて、温度変化による影響をより強く受けやすいのです。
驚くべきことに、夏場でもレンジボールは通常のゴルフボールより約1割も飛距離が短いとされています。そのため、多くの練習場では距離表示を実際より1割程度近く設定していることが一般的です。
冬にレンジボールが飛ばなくなる5つの科学的理由
冬になるとレンジボールの飛距離が落ちる現象には、明確な科学的根拠があります。ここでは、その主な理由を5つ紹介します。

1. ボールの硬化と弾性の低下
気温が低下すると、ゴルフボールの素材は硬くなります。特に柔らかい素材で作られたレンジボールは、この影響を強く受けます。
実証実験によると、寒さによるボールの硬化で約3%の飛距離減少が確認されています。特にカバーの柔らかいボールほど影響が大きいという結果も出ています。
硬くなったボールは弾性が低下し、クラブフェースとの接触時の反発力が減少します。これが飛距離低下の直接的な原因となっているのです。
2. 空気密度の増加
冬の冷たい空気は夏の暖かい空気よりも密度が高くなります。空気密度が高いということは、ボールが飛行中により多くの空気抵抗を受けることを意味します。
この空気抵抗の増加により、同じスイングスピードでショットを打っても、ボールは早く減速し、飛距離が短くなるのです。
気温が10度下がると、ボールの飛距離は数ヤード短くなるとされています。冬と夏の気温差が20度以上あることを考えると、その影響は無視できないものとなります。
3. レンジボール特有の収縮率
レンジボールは通常のゴルフボールとは異なる材質で作られているため、気温による収縮率も異なります。低温になるほど、この収縮度や復元性の違いが顕著に表れます。
Yahoo!知恵袋のベストアンサーによると、「音頭による収縮度や復元性が気温が低いほど顕著に表れる事により練習場の方が飛ばなくなると感じられる」とのこと。これは多くのゴルファーの実感とも一致しています。
レンジボールの1ピースや2ピース構造は、多層構造の通常ボールと比べて温度変化に対する反応が異なり、冬場の飛距離低下をより顕著にしているのです。
4. 打ち出し条件の変化
冬の寒さは、ボールだけでなくゴルファー自身にも影響します。厚着をすることで体の動きが制限され、理想的なスイングが難しくなります。
また、寒さで体が縮こまることにより、スイングスピードが低下したり、ミート率(ボール初速÷ヘッドスピード)が下がったりすることも。これらの要因が複合的に作用し、飛距離の低下を招いています。
元日大ゴルフブログによれば、「ミート率を上げるとスライスの要因が少なくなる」とのこと。冬場は特にミート率を意識したスイングが重要になってきます。
5. 練習場の環境要因

練習場自体の環境も飛距離に影響します。多くの練習場は太陽光線との関係で北向きに設計されていることが多く、冬は北風の影響を受けやすいという特徴があります。
この風の影響も、冬場にレンジボールが飛ばなくなる一因となっています。風速1mで約1ヤードの飛距離差が生じるとされており、冬の強い北風は無視できない要素です。
驚きの事実:夏と冬の飛距離差はどれくらい?
多くのゴルファーが実感している冬場の飛距離低下。では、実際にどれくらいの差があるのでしょうか?
Yahoo!知恵袋の質問者は「寒い時期にゴルフ練習場へ行ったら飛距離が各クラブ10ヤード位飛ばなくなりました」と報告しています。これは多くのゴルファーの実感と一致する数値です。
あなたも冬のラウンドで「いつもより1番手上のクラブを選ぶ」という経験はありませんか?
クラブ別の飛距離差
冬場の飛距離低下は、クラブによっても差があります。一般的に、アイアンでは10〜15ヤード程度の飛距離減少が見られます。
ドライバーについては、ボールの初速低下の影響を受ける一方で、冬場はフェアウェイが硬くなりランが出やすくなる傾向があります。そのため、トータルの飛距離では夏場と大きな差が出ないケースもあります。
みんなのゴルフダイジェストによれば、「いつもは7番」の150ヤードが冬場は届かなくなるという現象が報告されています。これは多くのゴルファーが経験する典型的な冬場の悩みです。
レンジボールと通常ボールの季節別飛距離差

特筆すべきは、レンジボールと通常のゴルフボールの飛距離差が季節によって変化するという点です。
夏場でもレンジボールは通常ボールより約1割飛距離が短いとされていますが、冬場になるとその差がさらに広がります。ベストアンサーによれば、「気温が低いほど顕著に表れる」とのこと。
つまり、冬場のレンジボールは「夏場のレンジボールよりさらに飛ばない」という二重のハンディを背負っているのです。
冬のレンジボールを最大限に活かす7つの実践的対策
冬場のレンジボールが飛ばないからといって、練習の質を落とす必要はありません。むしろ、この状況を理解し適切に対応することで、より効果的な練習が可能になります。
ここでは、冬のレンジボールを最大限に活かすための7つの実践的対策を紹介します。
1. クラブ選択の調整
冬場は夏場よりも1〜2番手上のクラブを選ぶことを基本戦略としましょう。例えば、夏なら7番アイアンで打つ距離を、冬は6番や5番アイアンで打つという具合です。
宮下アツシ氏のnote記事によれば、「冬場は球を置きたいところまでの距離に対して夏場よりも1~2番手上げたアイアンをチョイスする必要がある」とのこと。この調整を意識するだけでも、冬場の練習効率は大きく向上します。
実際の距離感を把握するために、練習場での飛距離をメモしておくのも効果的です。
2. 適切なウォーミングアップ
冬場は特に入念なウォーミングアップが重要です。体が温まっていないと、スイングスピードが出ず、ミート率も低下します。
練習を始める前に、軽いストレッチや小さなスイングから始め、徐々に大きなスイングに移行していきましょう。体が十分に温まってから本格的な練習を始めることで、冬場でも最大限のパフォーマンスを発揮できます。
特に手首や肩、腰など、スイングに重要な部位は念入りにほぐしておくことが大切です。
3. 飛距離よりもショットの質に集中
冬場の練習では、飛距離よりもショットの質に意識を向けることが重要です。ボールが芯に当たっているか、意図した弾道が出ているかなどに注目しましょう。
元日大ゴルフブログでは、「ミート率を上げるとスライスの要因が少なくなる」と指摘しています。冬場はミート率を高めるための絶好の練習期間と捉えることができます。
飛距離が出ないからといって力みすぎると、かえってスイングが崩れてしまいます。リラックスして、正確なショットを心がけましょう。

4. ボールを温かく保つ
練習前にボールを温めておくことも効果的です。ポケットに入れて体温で温めたり、車内に置いておくなどの工夫をすることで、ボールの硬化を多少は抑えることができます。
ただし、練習場のレンジボールは自分で用意するものではないため、この対策は限定的です。自分のボールを使用できる練習環境であれば、積極的に取り入れるとよいでしょう。
また、打ち始めの数球は「捨て球」と考え、体とボールが温まってから本格的な練習に入るという方法も効果的です。
5. 練習場の選択
可能であれば、質の良いレンジボールを使用している練習場を選ぶことも一つの対策です。練習場によってボールの品質には差があります。
Yahoo!知恵袋の質問者も「レンジボールの性能にも差がある様なので良いボールを使用している練習場に行こうと思います」と述べています。
また、屋内練習場や暖房設備の整った練習場を選ぶことで、寒さの影響を最小限に抑えることができます。
6. 冬用ゴルフウェアの活用
適切な冬用ゴルフウェアを着用することで、体の動きを制限せずに保温することができます。最近の冬用ゴルフウェアは薄手でも高い保温性を持つものが多く、スイングの妨げになりにくくなっています。
特に、コアとなる体幹部分を温かく保つことで、スイングスピードの低下を防ぐことができます。手袋やネックウォーマーなども効果的です。
ただし、厚着しすぎるとスイングの妨げになるため、動きやすさとのバランスを考慮しましょう。
7. 距離表示の補正を理解する
多くの練習場では、レンジボールが飛ばないことを考慮して、実際より1割程度近く距離表示を設定しています。この補正を理解しておくことで、実際のコースでの距離感とのギャップを埋めることができます。
ベストアンサーによれば、「練習場の距離表示は1割ぐらい近く設定しています」とのこと。この情報を踏まえて練習すれば、コースでの実際の飛距離とのギャップに悩まされることも少なくなります。
自分の感覚と練習場の表示の関係を把握しておくことが、冬場の練習では特に重要になります。
プロはどう対応している?冬場の飛距離調整術
プロゴルファーたちも冬場の飛距離低下に悩まされています。しかし、彼らは経験と知識を活かして、この状況に上手く対応しています。
プロの対応策を学ぶことで、アマチュアゴルファーも冬場のゴルフをより効果的に楽しむことができるでしょう。

クラブセッティングの調整
多くのプロゴルファーは、季節によってクラブセッティングを変更します。冬場は特に、飛距離が出にくいことを考慮して、より飛距離性能の高いクラブを選ぶ傾向があります。
宮下アツシ氏のnote記事では、「ぶっ飛び系アイアンなどのソールが広い優しいアイアンは冬場にミスを少なくしつつキャリーの落ちを少なくできる可能性がある」と指摘しています。
また、冬場はフェアウェイが硬くなりランが出やすいことを考慮して、ドライバーのロフトを調整するプロも少なくありません。
ボール選びの重要性
プロゴルファーは季節によってボールの種類を変えることもあります。冬場は圧縮率の高いソフトなボールを選ぶことで、低温による硬化の影響を最小限に抑える工夫をしています。
実証実験では、「カバーの柔らかいボールほど影響が大きい」という結果も出ていますが、プロは自分のスイングとボールの特性を熟知しているため、最適な選択ができるのです。
アマチュアゴルファーも、自分のスイング特性に合わせたボール選びを意識することで、冬場の飛距離低下を多少は抑えることができるでしょう。
スイングの微調整
プロゴルファーは冬場、スイングそのものを微調整することもあります。特に、ボールが上がりにくい傾向を考慮して、わずかにボールポジションを前にするなどの調整を行います。
ただし、宮下アツシ氏は「冬場の練習でキャリーの落ちを気にしすぎると飛ばすために球を上げようとしてすくい打になってしまう」と警告しています。スイングの基本は崩さず、微調整にとどめることが重要です。
冬場こそ基本に忠実なスイングを心がけ、ミート率を高めることがプロの秘訣と言えるでしょう。
冬のレンジボールを活かした効果的な練習メニュー
冬のレンジボールが飛ばないという特性を、むしろ練習の質を高めるチャンスと捉えてみましょう。ここでは、冬場ならではの効果的な練習メニューを紹介します。

ショートゲーム重視の練習
冬場は特にショートゲームの練習に力を入れるのが効果的です。アプローチやパッティングは飛距離の影響を受けにくいため、季節に関わらず安定した練習が可能です。
また、ショートゲームはスコアアップに直結する要素であり、冬場にこそじっくりと取り組む価値があります。特に、50ヤード以内のアプローチショットやバンカーショットの練習は、春以降のラウンドで大きな差となって表れるでしょう。
ショートゲームの練習は、体への負担も少なく、寒い中でも継続しやすいという利点もあります。
スイングの基本に立ち返る
冬場は飛距離を追求するよりも、スイングの基本に立ち返る絶好の機会です。グリップ、アドレス、スイングプレーンなど、基本的な要素を見直しましょう。
特に、ミート率を高めるための練習は冬場に最適です。元日大ゴルフブログでは、「ミート率を上げるとスライスの要因が少なくなる」と指摘しています。
冬場の練習で基本を固めておけば、春以降のシーズンでより大きな飛躍が期待できるでしょう。
トラックマンなどの計測器を活用する
最近では、多くの練習場にトラックマンなどの飛距離計測器が導入されています。これらの機器を活用することで、冬場の正確な飛距離データを把握することができます。
pacaのゴルフ日誌によれば、「トラックマンには実際のボール(レンジボール)のモードと、コースボールのモードがあって、レンジボールの飛ばない分を補正してくれる」とのこと。この機能を活用すれば、冬場でも実際のコースでの飛距離をシミュレートすることが可能です。
計測器を使って自分のデータを蓄積しておくことで、季節による変化を正確に把握し、より効果的な練習が可能になります。
まとめ:冬のレンジボール対策で一歩先を行くゴルファーに
冬のゴルフ練習場でレンジボールが飛ばなくなる現象は、単なる気のせいではなく、科学的な根拠に基づいた事実です。レンジボールの構造や材質の特性と、気温の低下が組み合わさることで、夏場と比べて明らかな飛距離の低下が生じます。
本記事で解説した主なポイントをおさらいしましょう:
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レンジボールは夏場でも通常のゴルフボールより約1割飛距離が短い
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冬場はさらに気温の影響で10〜15ヤード程度の飛距離減少が生じる
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レンジボールの1〜2ピース構造は気温変化の影響を受けやすい
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多くの練習場では距離表示を実際より1割程度近く設定している
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冬場は1〜2番手上のクラブを選ぶ調整が効果的
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飛距離よりもショットの質に集中することが重要
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冬場こそショートゲームや基本スイングの練習に適している

冬場にレンジボールが飛ばないことを理解し、適切に対応することで、むしろ練習の質を高めるチャンスとなります。飛距離に一喜一憂するのではなく、スイングの基本やショートゲームの強化に取り組むことで、春以降のゴルフシーズンに大きな差をつけることができるでしょう。
2025年の冬、この知識を武器に、一歩先を行くゴルファーを目指しましょう。レンジボールが飛ばない冬だからこそ、真のゴルフ力を磨くチャンスなのです。
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